Lumilinna

今日も、気ままに フィンランドから

タンペレの新名所 - スカイラウンジ@Tornihotelli

最近、なんかタンペレの公式観光案内のような風情を呈して参りましたが、一応私的ブログです。

 

という訳で、今回もタンペレの非公式観光情報(*^^*)

先の記事にも書いた、タンペレに昨秋オープンした高層ホテル「Torni(トルニと読み、塔の意)」の最上階25階は、スカイラウンジになっています。そこには、「MORO」という名まえのカフェバーがあり、街の中心地から眺めるタンペレ市街地の眺望を楽しむ人の新名所になっていまああ¥。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。^す。(すみません、ニャンコのコメント入りました =(^.^)= 

ホテルのラウンジ、といっても、入りにくい、とか堅苦しい、といった敷居の高さは全くなく、気軽に、フラッと立ち寄れる雰囲気です。

ちなみに「MORO」とはタンペレ語でカジュアルなごあいさつの言葉。英語では「ハーイ」、日本語では「やあ」という感じ。

MORO @ Tampereen Tornihotelli 

左上から、時計回りに。

- 北側にはタンペレのもう一つのランドマーク、Näsinneulaタワーがそびえる。

- タンペレ駅を真上から見下ろす位置にあるので、鉄子も満足!

- 西側からの眺め。左手白亜の建物は、2017年に新ムーミン谷美術館がオープン予定のTampere-taloホール。

- ガラス張りの外側はテラスになっている。屋根がないので冬場は雪が積もっているが、見晴らしは素晴らしい。このテラスは、カフェを利用しなくても、アクセス可能なので、展望のみを楽しむのもよし。

 

このカフェバーでは、午後2〜5時まで「アフタヌーンティ」と称し、スイーツ食べ放題のビュッフェを開催。この日はスキー休み中*1ということもあり、家族連れ、有閑マダム等で常に満席状態。たしかに、ここからの眺望は一見の価値あり。ここしばらくは、物珍しさと眺望見たさで、賑わうことでしょう。

Afternoon Tea @ MORO

アフタヌーンティといっても、イギリス風のスコーン&サンドイッチを期待してはいけません。あくまでもフィンランド流を貫きます。といっても、フィンランドでは、スイーツビュッフェはまだ新しいコンセプトなので、自己流、といったところ?

この日のスイーツは、ティラミス、ストロベリームース、チョコレートケーキ、マカロン、に加え、チキンのキッシュとライ麦チップスのカナッペ、でございました。あともう何種類かあったかもしれません。

飲み物も、コーヒー、カプチーノ、紅茶、ジュース、ソフトドリンクetc.と、飲み放題。そして、気になるお値段は14ユーロ。もう少し、スイーツの種類が増えてほしいところではありましたが、飲み放題ということと、ロケーションの良さ、という+αで、まあまあ、というところでしょう。

 

 「MORO」へのアクセスは、このサイトから「Sijainti(ロケーション)」をクリックして確認してください。

Ravintola / Moro Sky Bar Solo Sh Torni Tre - Raflaamo.fi

 

*1:フィンランドでは、2月の後半〜3月の初めにかけて、1週間のスキー休みを設け、小,中、高校は休みになる。子どもの休みに合わせて有給休暇を取得する保護者も多い。

フィンランド流誕生日の過ごし方

なぜ急に誕生日の話題かというと、単純に今日が自分の誕生日だからなんですけどね。

という訳で、さらっとフィンランド流誕生日の過ごし方をご紹介。

 

フィンランドでは、自分の誕生日に、学校や会社にお菓子やケーキを持って行き、友人や同僚に振る舞う。

誕生パーティは、基本的に自分で企画する。子どもの場合は、親が企画するが、大人の場合、30、40、50、60、70歳etc.という具合に節目節目にパーティを企画し、日頃の感謝の気持ちを込めて、友人、親戚、同僚などを招待する。

という具合。

特に盛大に祝われるのは、50歳の誕生日。半世紀という節目は特に大切なようです。日本だと還暦60歳の誕生日を祝うことが多いでしょうか。

まあ、これも、本人次第なので、特に祝ったり、パーティを開かない人も多いのですが。また、サプライズパーティを本人に知らせずに、家族や友人が企画することも。

プレゼントを送らないまでも、離れて住む家族や友人がバースデーカードを送る、というのはよくあります。

そもそも日本では大人になると、あまり誕生日ってお祝いしないでしょうかね。以前日本で仕事をしていたとき、香港生まれの同僚は「誕生日に仕事するなんて信じられなーい」と必ず有給休暇を取得して休んでいました。そして毎年プロのカメラマンに記念写真を撮ってもらっていました。このような誕生日の過ごし方はちょっとしたカルチャーショックでもありました。

 

そして、今年の誕生日ですが、プレゼントにタータンチェックのマフラーと自撮り棒をもらいました(*^^*)タータンチェック、今自分の中で「イン」なんです。そして、なぜに自撮り棒?まあ、たしかに自撮りは得意ではありませんけどね。

そして、夜は昨秋オープンしたタンペレ最高層ホテル「Torni hotelli」の中の「Grill It」というレストランで食事。かつて機関車の車庫として使われていた建物を改装したもので、高い天井と弧の字型のユニークな形が特徴です。下の写真のメニューは、フィンランドの人気メニューの一つ、ペッパーステーキ。

 

Torni hotelli @ Tampere

あ、それから今日はLaskiaistiistai(ラスキアイス・ティースタイ)。英語圏では「Shrove Tuesday(告解の火曜日)」、カトリック圏ではカーニバルで有名な「Mardi Gras(マルディ・グラ)」と言われるキリスト教の祝日です。といってもフィンランドでは休日ではないのですが。

この日にはLaskiaispulla(ラスキアイス・プッラ)というクリームたっぷりのパンを食べる習慣があります。パンにはクリームの他にストロベリージャム、またはアーモンドペーストを挟むのですが、私は断固甘さ控えめのアーモンドペースト派。しかし、甘いもの大好きなフィンランド人は、ジャム派の人が圧倒的に多いのです。パンもクリームもすでにほんのり甘いので、これ以上ジャムで甘くしなくてもいいのに、と思うのですがねえ。

という訳で、今日はケーキの代わりに、お気に入りの食器でLaskiaispullaをいただきました。

Laskiaispulla

また、誕生日には何か実用的、かつ記念になるものを買う習慣にしているのですが、今回買ったのはこれ。

Arabia Tilda bowl

Arabiaのボウルです。そう古くはないようですが、すでに廃盤となってしまったものをフリマで見つけました。Arabiaの食器は青の発色がとてもきれいです。先のLaskiaispullaの写真にあるのは、Arabia KokoシリーズのAquaという色のマグカップなのですが、これは青磁のような上品な水色です。このボウルも、Aquaよりは少しだけ青みが濃いのですが、同色系の水色。グリーンサラダやミモザサラダが映えそうです。

 

ということで、フィンランド流というより、結局自分流になりましたかね、誕生日の過ごし方でした。 

ぶらぶら街歩きウィンドウショッピング

今回はライトに、ぶらぶら街歩きで見かけたライトなショッピング情報。

 

フィンランドにはいわゆる老舗とされるデパートが2店あります。そのうちのひとつが、Sokosデパート。そしてもう一つがStockmannデパート。あえて、日本のデパートに例えるなら、前者が松屋、後者が三越、という感じでしょうか。Sokosの品揃えはモダン&おしゃれ、Stockmannは高級&コンサバ、といったイメージがあります。Sokosは今改修工事中で、イギリスのMarks & Spencerとタイアップしたフロアがオープンするようです。対してStockmannのほうは、昨秋改修工事を終え、ブランド製品に力を入れて、取扱い商品の幅を広げつつ、高級感がより強調されたように思います。

まあ、日本のデパートほど規模は大きくなく、品揃えも劣るのですが、日本では扱っていないブランドや商品を探すのもウィンドウショッピングの面白さ。ということで、今回はフィンランドのデパートってこんな感じ〜程度にライトにご紹介します。

 

まずはフィンランドブランドの大御所、Marimekko。これは春の新色でしょうか。黄色とベージュがかったグレーの色合いが春らしいですね。

Marimekko @ Sokos

 

実は日本の通販カタログで知った、フィンランドの鞄メーカーLumi。日本では知る人ぞ知るブランドなのでしょう。Lumiの特徴は何と言っても鮮やかな色合いのレザー。スーパーのプラスチックバッグ形のショルダーバッグ(写真左下、ブラウンのバッグ)はLumiならではのデザイン。

f:id:hosekibako:20150213084125j:plain

 

このイタリア製のバッグも色鮮やか。母体の色と対照的な色合いのボタンがアクセントになり、オシャレ度高め。

Italian bag @ Sokos

 

手前のがま口形ポシェットは、フィンランドの国産品。シンプルな飾り気のなさがフィンランドらしいのですが、少々洗練さに欠けるデザイン。後方にはMarimekkoのがま口形ポシェット(赤に白の水玉模様)が見えるのですが、同じフィンランドデザインでも、片やコンサバ、片やウルトラモダン、と対照的ですね。

Pochette @ Sokos

 

今日2月14日は、聖バレンタインデー?いえいえ、フィンランドでは、聖バレンタインデーとはいいません。「Ystävänpäivä(友だちの日)」といいます。当然女性から男性にチョコレートをあげる日でもありません。友人同士が日頃の友情への感謝の気持ちを込めて、カードやちょっとしたプレゼントをあげる日となっています。この写真には、♡→赤またはピンク→女性が喜びそうなもの、という発想で商品が並んでいます。

Hyvää Ystävänpäivää

 

日本のように女性から男性へチョコレート、という習慣はありませんが、プレゼントにチョコレートを選ぶ人は多いようです。写真の中のピンクのハート形チョコレートは、Fazer社のGeishaチョコレートです。元々チョコレート大好きなフィンランド人ですから、メーカー側にとっても、格好の商機なんでしょう。

Hyvää Ystävänpäivää

 

ちなみに、この「Ystävänpäivä」ですが、歴史はそう古くはありません。元々フィンランドには聖バレンタインデーを祝う習慣はありませんでした。そもそもの発端は、80年代はじめに、Tampereen sydänyhdistys (直訳すると「タンペレ心臓協会」)が、聖バレンタインデーのシンボルともいえる「赤いハート」を、心臓と心身の健康への関心を喚起するためのキャンペーンに用いたこと、と言われています。その後、フィンランド赤十字社が「赤いハート」と「友愛の精神」を結びつけ、Ystävänpäivä用のポストカードを制作したことが、この日がYstävänpäiväとして定着するきっかけになった、ということのようです。

 

さて、話をショッピングに戻しましょう。

これはフィンランドの化粧品ブランドLumeneのコーナー。おそらく日本ではほとんど知られていないでしょう。Lumeneの基礎化粧品、実は私も愛用しています。フィンランドに来た当初は、日本の基礎化粧品を使用していたのですが、湿度が20%まで落ちてしまう冬場の乾燥肌に悩んでいました。そんなとき、TVで見たのが「北欧の気候に合わせた北欧生まれの化粧品」というLumeneの広告。もう飛びつきました。それ以来、愛用しています。

Lumene @ Stockmann

というところで、今回のウィンドウショッピングは時間切れ。また街中で気になる商品を見つけたらレポートしたいと思います。

ヴィンテージ好きなら「Revontuli展」が面白い

続けてタンペレミュージアムレポートいきます。

 

現在Vapriikkiで開催中の「Revontuli展」では、フィンランドのファッションブランドRevontuliを紹介。そもそもRevontuliとは「オーロラ」という意味なので、「なるほど、オーロラのように色鮮やか〜」と感心していたら、この名称の由来は、「フィンランドは世界的にはほとんど知られていないが(1960年代当時)、北欧といえば神秘的なオーロラ、というほどオーロラは有名だから」というものだったらしい。

 

では、まず「Revontuli」ブランドとは、

ジャーナリストであり起業家のLenita Airistoが、テキスタイルデザイナーのNana SuniとファッションデザイナーのAnna-Liisa Nieminenと共同で1966年に立ち上げた、1960年代を代表するフィンランドのファッションブランド。

その母体にあるのは、Suomen trikoo *1という、タンペレを本拠地としていた衣料品メーカー。同メーカーのオシャレ(high design)ラインを導入するにあたり、Lenita Airistoとコラボして誕生したのが「Revontuli」だった。

「モダン、大胆、遊び心、エレガンス」をキーワードとし、「新しいデザイン、鮮やかな色合い、上品なシルエット」を用いることで、最先端の女性ファッションと新しい女性像の創造を目指した。Suomen trikooの編物、縫製技術とLenita Airistoの野心、フィンランドデザインのプライドが結集して完成。

1966年に発売後、北欧諸国、アメリカにも進出し、好評を得た。

Lenita Airistoは、 Revontuliブランドのコンセプトデザインとマーケティングを担当、カタログ用写真家には当時売れっ子だった広告カメラマンMatti Pietinenを起用。ロケ地として北極圏やフィンランド西海岸ポリ市にあるYyteri海岸などが選ばれた。

企画展では、当時のコレクションから40点を厳選し、ファッション写真、カタログ、スタイル画などとともに、Revontuliの全貌を紹介。

Revontuli展@Vapriikki

Revontuli展@Vapriikki

また、1969年のヘルシンキ発ニューヨーク便就航に伴い、フィンエアーは「Finn Hostess」と呼ばれたファーストクラス担当のキャビンアテンダント用にRevontuliブランドのユニフォームを採用。

Revontuli展@Vapriikki

Revontuli展@Vapriikki

上の写真がそのオフィシャルユニフォーム。

キャプションを読むと、ユニフォームは青と白のコットンベロアの生地でできたRevontuliのマキシ丈ドレス。

他にもフィンランドデザインを代表する蒼々たる面子が名を連ねている。

胸に輝くのはBjörn Weckström*2デザインの「People need people」というブローチだし、

ブランケットはMarjatta Metsovaara*3のデザインで、

食器類はTapio Wirkkala*4、そしてナプキンはDora Jung*5デザインのリネン、

という具合。

 

もう、ヴィンテージ好きには、たまらないデザイナーたちですね。

このあたりのフィンランドのヴィンテージ&デザイナー特集、いずれ書きたいと思っています。

 

いや〜、この企画展、楽しい!元々60年代ファッションは好きだったし、ツィギーやマリー・クアントに代表されるミニスカートや、マキシドレス、そしてパンタロンにホットパンツ、と、今のファッションの源となった60年代だし。

加えて、この大胆な柄にデザイン、そしてフィンランドの自然を背景にしたカタログ。そこかしこから60年代の、60年代のフィンランドの息吹が聞こえてくるのです。

 

なお、参考までに、このRevontuliコレクション、2013年に「Revontuli by Nanso」として復刻されています。ちなみにNansoは、トリコット製品を主としたフィンランドのファッションブランド。元祖Revontuliのキーパーソン、Lenita Airistoもコーディネーターとして全面協力。60年代のデザインを現代のニーズに合わせてアレンジ、リゾート仕様として再デザインされました。下のサイトを見ると、まだ何点かセール価格でネットショップで購入できるようです。



また、Suomen trikooほか、フィンランドのテキスタイル産業については、Tekstiiliteollisuusmuseo(Textile Industry Museum)*6が面白いです。特にこのサイトでは、Suomen trikoo、Finlayson、Tampellaを含む、タンペレのテキスタイルブランドを紹介しています。

Tekstiilejä Tampereelta (フィンランド語のみ)

 

「Revontuli展」は2015年8月16日まで開催、フィンランドのファッション、テキスタイル、レトロ、ヴィンテージが好きな方にお勧めします。できれば、時間をかけてカタログやスタイル画もじっくりご覧になってください。会場内には、Aarnio Ball Chairも設置され、自由に座れるようになっているのも、ヴィンテージ好きには嬉しいですね。

The Revontuli Brand - Museokeskus Vapriikki

 

*1:操業期間1903ー2005。Suomen trikooとはフィンランド・トリコットの意

*2:Lapponiaというジュエリーブランドのデザインで知られるジュエリーデザイナー。映画「スターウォーズ」の1作目でキャリー・フィッシャー扮するレイア姫が身につけていたネックレスのデザインで知られる。

*3:テキスタイルアーティスト。タンペレのテキスタイル産業の一端を担ったTampella社のテキスタイルデザインで知られる。

*4:デザイナー/アーティスト。特にアートガラス、ガラス製品は日本でもよく知られている。

*5:テキスタイルアーティスト。リネン製品のデザインで知られ、Tampella社製のリネン製品に様々なデザインを提供している。

*6:タンペレのWerstas, The Finnish Labour Museum内にある。フィンランドのテキスタイル産業、ブランド、テキスタイルデザインを紹介している。

Rudolf Koivu展@Postimuseo

先のVapriikkiの記事に引き続き、今回もミュージアム関連の話題。

先日、Vapriikki内にある、Postimuseoの企画展Kuin silloin ennen - Lasten elämää Rudolf Koivun kuvittamana(昔の子どもたち ー ルドルフ・コイヴのイラストにみる昔の子どもたち)」に行ってきました。小規模の展覧会ながら、ルドルフ・コイヴファンなら見逃せません。

Kuin silloin ennen - Lasten elämää Rudolf Koivun kuvittamana

まず、ルドルフ・コイヴを簡単にご紹介。

Kuin silloin ennen - Lasten elämää Rudolf Koivun kuvittamana

ルドルフ・コイヴ(1890−1946)は、Martta Wendelin(マルッタ・ウェンデリン)と並び、フィンランド人ならだれもが知っている、20世紀前半に活躍したアーティスト/イラストレーター。絵本の挿絵、雑誌の表紙、広告、ポストカード、教本など、分野、作品は多岐にわたる。

帝政時代のロシア、サンクトペテルブルグでフィンランド人の両親の元に生まれるが、幼くして両親と死別。不遇の子ども時代をおくるが、のちに裕福なゴッドマザーに引き取られヘルシンキに移り住む。幼い頃から画才を発揮し、Suomen taideyhdistyksen piirustuskoulu(現Academy of Fine Arts)*1にて画家になるべく絵画を学ぶ。しかし、画家よりイラストレーターのほうが稼ぎがよかったために転身し、その後はイラストレーターとして活躍。

主な作品として、フィンランドを代表する童話作家ザクリス・トペリウスや、クリスチャン・アンデルセンの童話の挿絵、『千夜一夜物語』の挿絵などがある。

ペンと水彩で描かれた画風は柔らかく、ノスタルジック。フィンランドの子どもたちの様子を四季折々の中で生き生きと描いた。

イギリスのベアズリー、フランスのデュラックなどの影響を受けたとされ、童話の挿絵は繊細かつ優雅。また、ロシアバレエに造詣が深く、特にバレエリュスに傾倒、バレエの動きを取り入れた作品も多い。

風刺画も描いており、トーベ・ヤンソンも活躍した雑誌「Garm(ガルム)」に作品を提供している。

 

とまあこんな感じ。

ルドルフ・コイヴの画風、私も大好きなのです。何とも郷愁をそそる、といいましょうか、古き良き時代。日本で言ったら、大正ロマン、竹久夢二の時代に活躍した人ですね。画風は違いますが、何となく共通するところがあるように思います。

とにかく絵が美しい。元々が本、雑誌用の絵なので、サイズの小さい作品が多いのですが、展示されている作品も、最初印刷かと思ったぐらい仕上がりが綺麗なのです。

Kuin silloin ennen - Lasten elämää Rudolf Koivun kuvittamana

Kuin silloin ennen - Lasten elämää Rudolf Koivun kuvittamana

この企画展では、ルドルフ・コイヴが描いた子どもたちと同時代の子ども服、おもちゃなども展示されています。今の子どもたちは、自分たちの生活ぶりとの違いを体感し、かつての子どもたちは、自分の子ども時代に思いをさせる、という趣向。ただ、洋服が下がっていたラックが現在IKEAで売っているものだったのが、何とも惜しい。。。

Kuin silloin ennen - Lasten elämää Rudolf Koivun kuvittamana

そして、この日はガイドツアーやルドルフ・コイヴに関するレクチャーもあったのですが、参加者たちの平均年齢の高いこと。私、最年少だったかも。コイヴの絵が醸し出すノスタルジーは、若い世代には少々古くさく見えるのかもしれませんね。

 

ルドルフ・コイヴのポストカード

上の写真は市販されているコイヴのポストカードを集めたもの。ベアズリーの描く女性のような妖艶さ、正確に捉えたバレリーナの動き、美少年から老人、子どもや小動物、シリアスからユーモラスな表情などを描き分ける画才は、コイヴならでは。細かい部分もしっかりと描き込まれていて、見ていて飽きません。

 

この企画展、2015年5月3日まで開催されています。タンペレを訪れる機会があったら、これもお見逃しなく。

 

さて、次もミュージアム情報続きます。

同じくVapriikkiで現在開催中の「Revontuli(レヴォントゥリ)展」をレポートします。 

あ、Revontuli(オーロラの意)といってもあのAurora Borealisではなく、フィンランドの服飾メーカーの話なのでお間違いなく。

*1:この美術学校では後にトーベ・ヤンソンも学んでいる

Museokeskus Vapriikki|Museum Centre Vapriikki

ミュージアムセンター・ヴァプリ一ッキ

 

先週来、何度か ミュージアムセンター・ヴァプリ一ッキに行く機会がありました。

そこで、これから何回かに分けて、ヴァプリ一ッキをご紹介したいと思います。

まず、この聞き慣れない名まえですが、元々「Tampella(タンペッラ)」という紡績工場だった建物を再利用したミュージアムセンター、だから。「Vapriikki」の語源はスウェーデン語の「fabrik(ファブリック、英語ではfabric。織物、布、生地の意)」、それがタンペレなまりのフィンランド語化した結果、この紡績工場は「Vapriikki」という愛称で呼ばれるようになった、という歴史を尊重して付けられた名称、なんだそうです。

また、ミュージアムセンターと呼ばれるように、その傘下に6つのミュージアムを擁する総合博物館施設です。そして現在開催中の展覧会は、

 

Kenkämuseo(Shoe Museum)常設展

ーPinkoen huomiseen (Stretching to the Future) 企画展

Suomen Jääkiekkomuseo(Hockey Hall of Fame Finland)常設展

ーUrheiluidolit (Sport Idols) 企画展

Tampereen luonnontieteellinen museo(Tampere Natural History Museum)常設展

Maakuntamuseo(Regional Museum)

ーAika leikkia (Time to Play) 常設展

ーInnovaatiot (Innovations) 常設展

ーTammerkoski (Tammerkoski Rapids) 常設展

ーTampere 1918 (Tampere 1918 - Finnish Civil War) 常設展

ーNunavut's Culture on Cloth 企画展

ーThe Revontuli Brand 企画展

ーMedieval Pilgrimages from Finland 企画展

Postimuseo(Postal Museum)

ーViestinviejät (Messengers) 常設展

ーSalaisuuksin suljettu: Kiljeiden Tom of Finland (Sealed with a secret: Correspondence of Tom of Finland) 企画展

ーKuin silloin ennen (As in Days Gone By) 企画展

ーTaide elämäntyönä (Art as a Vocation) 企画展

Kivimuseo(Mineral Museum)常設展

 

えーと、全部で17ですね。何とも充実の展示内容。半日、いや一日かけても鑑賞しきれないかもしれません。それでいながら、入館料は大人10ユーロ、子ども4ユーロ(7歳未満無料)とお得。

ヴァプリーッキで開催中の各種展覧会

ヴァプリーッキの基本理念は、タンペレを中心としたピルカンマー地域のミュージアムとして、地域の歴史、文化、社会をテーマとした展示を行う、というもの。特に工業都市として発展したタンペレの産業史の紹介に重きを置いています。

また、ピルカンマー地域、フィンランドのみならず、世界の歴史、文化などを紹介する企画展にも力を入れています。過去には、日本の武士の歴史をテーマとした「侍展」、フィンランド在住の印籠コレクター、クレス夫妻の印籠コレクションを展示した「印籠展」、また、アイヌ文化を紹介した「アイヌ展」など、日本をテーマにした展覧会も開催され、人気を集めました。クレスコレクションの印籠は、その後日本の九州国立博物館でも展示されました。

また、ヴァプリーッキでは展示以外のサービスも充実。カフェレストランValssi(ヴァルッシ)の平日ランチは8.70ユーロ(スープランチは6.80ユーロ)とリーズナブル。もちろんお茶のみでもOK。ミュージアムに入館しなくても利用できるので、平日は近隣のオフィスや消防署からもランチにくる人でかなりのにぎわい。ランチ以外の時間帯は比較的空いているので、Tammerkoskiの急流を眺めながら、広々としたレストランでのんびりとコーヒーブレイクするのも乙なもの。また、ミュージアムショップでは、企画展に合わせたグッズ、図録を販売。ここでしか手に入らないタンペレグッズなども人気です。

 

そんなヴァプリーッキ内に、昨秋Postimuseo(郵便ミュージアム)がオープンしました。このミュージアムは以前ヘルシンキ中央駅の隣にあったのですが、そこを閉館し、場所をタンペレに移して再オープン。オープン当初、フィンランド人のゲイアーティスト「Tom of Finland」をテーマとした作品、記念切手発行で世界的に注目を集めました。

今回は、そんなPostimuseoで開催された、2015年の記念切手発行に伴う企画展に行ってきました。

この記念切手は、「Suomen Taiteilijaseuran 150-vuotisjuhlavuoden postimerkin suunnittelukilpailu」(フィンランド芸術家協会創立150周年記念切手デザインコンペティション)に出展された作品の中から選ばれた6点が切手になったもの。

この6点の中には、フィンランド在住の日本人アーティストMayumi Niiranen-Hisatomiさんの作品も。下のリンク先、中段右側の作品です。

Postimuseo - Taide elämäntyönä

なお、コンペティションに出展された作品の複製が、現在Postimuseoにて、「Taide elämäntyönä(ライフワークとしてのアート)展として展示されています。

Taide elämäntyönä(ライフワークとしてのアート)展

なお、この記念切手は、一般の郵便局やKioski(キオスキと読み、日本のキオスクのような小さなショップ)などでも今年いっぱい購入できるので、フィンランドにいらっしゃる機会があったら、ぜひお求めになってください。

ちなみにフィンランドから日本への郵送料は、ハガキ、封書とも20gまでは「1.luokka(ファーストクラス)」の切手1枚、1.10ユーロです。

 

どうです?ヴァプリーッキ、面白そうじゃありませんか?過去の記事に、タンペレを訪れる日本人旅行者は多く、そのほとんどがムーミン谷美術館目当て、と書きました。*1 これからタンペレを訪れる予定の方がいらっしゃったら、ムーミン谷に加え、ちょっと足を延ばしてヴァプリーッキにも行ってみてくださいね。

 

次回は、同じくPostimuseoで現在開催中の「ルドルフ・コイブ展」をご紹介します。 

 

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