Lumilinna

今日も、気ままに フィンランドから

ヴィンテージ好きなら「Revontuli展」が面白い

続けてタンペレミュージアムレポートいきます。

 

現在Vapriikkiで開催中の「Revontuli展」では、フィンランドのファッションブランドRevontuliを紹介。そもそもRevontuliとは「オーロラ」という意味なので、「なるほど、オーロラのように色鮮やか〜」と感心していたら、この名称の由来は、「フィンランドは世界的にはほとんど知られていないが(1960年代当時)、北欧といえば神秘的なオーロラ、というほどオーロラは有名だから」というものだったらしい。

 

では、まず「Revontuli」ブランドとは、

ジャーナリストであり起業家のLenita Airistoが、テキスタイルデザイナーのNana SuniとファッションデザイナーのAnna-Liisa Nieminenと共同で1966年に立ち上げた、1960年代を代表するフィンランドのファッションブランド。

その母体にあるのは、Suomen trikoo *1という、タンペレを本拠地としていた衣料品メーカー。同メーカーのオシャレ(high design)ラインを導入するにあたり、Lenita Airistoとコラボして誕生したのが「Revontuli」だった。

「モダン、大胆、遊び心、エレガンス」をキーワードとし、「新しいデザイン、鮮やかな色合い、上品なシルエット」を用いることで、最先端の女性ファッションと新しい女性像の創造を目指した。Suomen trikooの編物、縫製技術とLenita Airistoの野心、フィンランドデザインのプライドが結集して完成。

1966年に発売後、北欧諸国、アメリカにも進出し、好評を得た。

Lenita Airistoは、 Revontuliブランドのコンセプトデザインとマーケティングを担当、カタログ用写真家には当時売れっ子だった広告カメラマンMatti Pietinenを起用。ロケ地として北極圏やフィンランド西海岸ポリ市にあるYyteri海岸などが選ばれた。

企画展では、当時のコレクションから40点を厳選し、ファッション写真、カタログ、スタイル画などとともに、Revontuliの全貌を紹介。

Revontuli展@Vapriikki

Revontuli展@Vapriikki

また、1969年のヘルシンキ発ニューヨーク便就航に伴い、フィンエアーは「Finn Hostess」と呼ばれたファーストクラス担当のキャビンアテンダント用にRevontuliブランドのユニフォームを採用。

Revontuli展@Vapriikki

Revontuli展@Vapriikki

上の写真がそのオフィシャルユニフォーム。

キャプションを読むと、ユニフォームは青と白のコットンベロアの生地でできたRevontuliのマキシ丈ドレス。

他にもフィンランドデザインを代表する蒼々たる面子が名を連ねている。

胸に輝くのはBjörn Weckström*2デザインの「People need people」というブローチだし、

ブランケットはMarjatta Metsovaara*3のデザインで、

食器類はTapio Wirkkala*4、そしてナプキンはDora Jung*5デザインのリネン、

という具合。

 

もう、ヴィンテージ好きには、たまらないデザイナーたちですね。

このあたりのフィンランドのヴィンテージ&デザイナー特集、いずれ書きたいと思っています。

 

いや〜、この企画展、楽しい!元々60年代ファッションは好きだったし、ツィギーやマリー・クアントに代表されるミニスカートや、マキシドレス、そしてパンタロンにホットパンツ、と、今のファッションの源となった60年代だし。

加えて、この大胆な柄にデザイン、そしてフィンランドの自然を背景にしたカタログ。そこかしこから60年代の、60年代のフィンランドの息吹が聞こえてくるのです。

 

なお、参考までに、このRevontuliコレクション、2013年に「Revontuli by Nanso」として復刻されています。ちなみにNansoは、トリコット製品を主としたフィンランドのファッションブランド。元祖Revontuliのキーパーソン、Lenita Airistoもコーディネーターとして全面協力。60年代のデザインを現代のニーズに合わせてアレンジ、リゾート仕様として再デザインされました。下のサイトを見ると、まだ何点かセール価格でネットショップで購入できるようです。



また、Suomen trikooほか、フィンランドのテキスタイル産業については、Tekstiiliteollisuusmuseo(Textile Industry Museum)*6が面白いです。特にこのサイトでは、Suomen trikoo、Finlayson、Tampellaを含む、タンペレのテキスタイルブランドを紹介しています。

Tekstiilejä Tampereelta (フィンランド語のみ)

 

「Revontuli展」は2015年8月16日まで開催、フィンランドのファッション、テキスタイル、レトロ、ヴィンテージが好きな方にお勧めします。できれば、時間をかけてカタログやスタイル画もじっくりご覧になってください。会場内には、Aarnio Ball Chairも設置され、自由に座れるようになっているのも、ヴィンテージ好きには嬉しいですね。

The Revontuli Brand - Museokeskus Vapriikki

 

*1:操業期間1903ー2005。Suomen trikooとはフィンランド・トリコットの意

*2:Lapponiaというジュエリーブランドのデザインで知られるジュエリーデザイナー。映画「スターウォーズ」の1作目でキャリー・フィッシャー扮するレイア姫が身につけていたネックレスのデザインで知られる。

*3:テキスタイルアーティスト。タンペレのテキスタイル産業の一端を担ったTampella社のテキスタイルデザインで知られる。

*4:デザイナー/アーティスト。特にアートガラス、ガラス製品は日本でもよく知られている。

*5:テキスタイルアーティスト。リネン製品のデザインで知られ、Tampella社製のリネン製品に様々なデザインを提供している。

*6:タンペレのWerstas, The Finnish Labour Museum内にある。フィンランドのテキスタイル産業、ブランド、テキスタイルデザインを紹介している。

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