Lumilinna

今日も、気ままに フィンランドから

フィンランドといえば、これ、という話題

「はじめまして」のごあいさつが済んだところで、何から書き始めよう、と少し迷ったのですが、まずはこの話題から。

 

私が住んでいる街、タンペレは、フィンランド第3の街*1で、ここを訪れる日本人観光客も、ヘルシンキほどではないにしろ結構多いのです。それもひとえにこの一家のおかげ。今は「借り暮らし」の住まいで居候中の一家ですが、先日やっと安住の地が決まった、ということがニュースになっていました。そう、タンペレには、この一家にまつわるユニークな美術館があるのです。

 

その進退を巡り、何かと注目を集めるこの美術館「ムーミン谷」に関する講演に行ってきたので、そのご報告。

 

"Muumit ja Tampere"「ムーミンとタンペレ」と題し、ムーミン谷を所轄するタンペレ市立美術館館長と、Aamulehti新聞の文化欄担当で知られるジャーナリストを迎え、「ムーミン谷創設にまつわる逸話、現状と今後」について興味深い話を聞くことができました。

 

ことしの4月、ムーミン谷を、Tampere-taloホール内に移設する、という発表がありました。Tampere-taloとは、コンサートホール、国際会議などが開催されるコンベンションホール、その他多目的に使用されるホール/スペースを擁する複合文化施設です。

 

しかし、この決定については賛否両論。地元の知識人らは総じて反対。コンベンションホールはムーミン一家の安住の地としてふさわしくない、建物が近代的過ぎる、商業施設と美術館は一緒にするべからず、等々がその理由。そして何より、「ムーミン谷のために新しい建物を建設する」というトーベとの約束に反する、というもの。

 

賛成論者は、鉄道の駅から徒歩数分というアクセスの良さ、コンベンション、コンサート、観劇のついでに来館できる利便性、街中にありながら自然に囲まれた環境、隣接の公園には、トーベのお父さんである彫刻家Victor Jansson作の彫像が常設展示されている、などを肯定的に捉えています。

 

個人的には、願わくば、新しい美術館を建設し、広々とした環境の中で、ムーミンの世界観を体感しつつ、ムーミン作品を鑑賞したいと思っていましたが、何しろ資金が足りないのです。「これが、現状での最善の妥協策」とは館長の言葉。

 

新しいムーミン谷美術館の概要は、まだ計画の初期段階なので、流動的、要するにまだ何も決まっていないようです。ですので、特に要望したいことがある方、今のうちです。どんどん美術館宛に申し入れましょう。

 

展示内容は、「ムーミン作品原画と、立体画*2を中心に、最新技術も取り入れつつ、ムーミン谷の世界感をヴィジュアル化する工夫もしたい」とのこと。

 

なお、美術館設計は、美術館や展覧会デザインの経験豊富なArkkitehti- ja valaistussuunnittelutoimisto TAKTが、展示デザインは、先頃ヘルシンキにあるフィンランド近代美術館Kiasmaのマリメッコ展で注目を集めたAamu Song & Johan Olinが担当することが決まっているそうです。

 

そして、注目の開館予定日は、写真にある通り、2017年5月1日に決定!具体的に日にちを設定し、しかも、もう発表しちゃうことに、関係各位の意気込みが感じられます。

f:id:hosekibako:20141105135343j:plainphoto: © Lumilinna

 

講演では、現ムーミン谷の統計もいくつか発表されました。

- 年間来館者数:約40,000人

- うち外国人来館者:全体の約60%、そのうち大半が日本人、続いてロシア人、昨今では中国、韓国人来館者の伸びが著しい

- 日本人来館者のムーミン谷ミュージアムショップでの客単価:約70ユーロ 

 

日本のみなさん、「ムーミン谷」での存在感、影響力大です。美術館側も、日本人来館者の要望や希望を取り入れたいようなので、伝えておきたいことがあったら、コンタクトを取ってみたらいかがでしょうか。ちなみに、「ムーミン谷」サイト、常時更新はされてないようですが、日本語ページもあるので要チェックです。

 

新しい「ムーミン谷」の移転先Tampere-taloってどんなとこ?と気になる方は、こちらをご覧ください。

 

*1:首都ヘルシンキと隣接する街エスポーを合わせてGreater Helsinkiとした場合は第2の都市となるらしい。人口はヘルシンキ、エスポーに続き3番目に多い。

*2:ストーリーの場面を忠実に再現したミニチュア模型、ジオラマ。

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