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今日も、気ままに フィンランドから

Jouluaatto|Christmas Eve

フィンランド流クリスマスイブの過ごし方

 

フィンランドのクリスマスシーズンは、11月中旬のオフィシャルオープニングにはじまり*1、4回のアドベントサンデーを経て、25日のクリスマスデーを挟んだ前後3日間、そしてThe Twelve Days of Christmas(クリスマスの12日)の後、1月6日の公現祭を以て幕を閉じます。

まあ、この辺はキリスト教圏どこも同じ(正教はちょっと違いますが)かと思いますが、25日過ぎると、一気にお正月モードに様変わりする日本と決定的に違う点ですね。クリスマスのお飾りは1月6日に取ります。

 

最も盛大に祝われるのは、24〜26日のクリスマスイブ、クリスマスデー、ボクシングデー(フィンランド語ではタパニデー)ですが、フィンランドの場合、メインはクリスマスイブ。

そこで、今日はフィンランド流クリスマスイブの過ごし方をご紹介します。

クリスマスイブの朝は、まず森にkuusi(クーシ、もみの木)を切り出しに行くところから始まります。あ、これは「持ち家ならぬ持ち森」が近場にある場合の話。我が家は住宅地にあるので、最寄りのマーケットに立つ、もみの木市に買いに行きます。

朝8時は過ぎているのですが、日の出が9時30分過ぎなので、まだ真っ暗。もみの木にも緑の濃いもの、銀色がかったもの、などいくつか種類があるのですが、何ぶん暗くて違いがわからない。今回は、ツリーの形と高さで選びました。ツリーによっては、枝が少なく、スカスカのものもあるので、比較的枝が多く末広がり、加えて我が家はあまり天井が高くなく、しかもネコがいるので、あまり背の高くないものを選択。値段は大きさによって決まるようで、今回のは30ユーロ。

Jouluaatto_もみの木市

ツリーをかついで帰宅し、リビングへ運び込んだら、さっそく飾り付け。飾り付けにもその年々でトレンドがあるようで、テーマカラーが赤だったり、青だったり、シルバーだったり。我が家の場合、トレンドには無頓着。そもそも毎年オーナメントを買い替えていたら大変な出費になります。一つか二つ、気に入ったオーナメントを買い足すことはあっても、ここ数年、同じ飾り付けです。

フィンランド、というか北欧らしいオーナメントが、「orki(オルキ、藁)」でできたもの。代表的なものに、「ヒンメリ」というモビールがあります。ちなみに、この写真は、ヒンメリ展を開催していたギャラリーで撮影したもの。

ヒンメリ展

また、フィンランドはじめ、各国の国旗を連ねたガーランドを飾る場合もありますね。夫の実家では、加えて、子どもの頃に工作で作ったオーナメントを大事に取ってあって、毎年飾っています。

国旗のガーランド

あとは、ボールやベル、ロウソク(かつては本物のロウソクを飾っていたようですが、今はロウソク型のライト)を飾り付け。

最後に、ツリーのてっぺんに大きな星を取り付けて完成。フィンランドでは、たいがい星を飾りますが、イギリスなどはエンジェルだったりします。

午前中は、残りの買い物を済ませたり、やり残しの掃除をしたりで、あっと言う間に過ぎて行きます。

この間、オーブンの中にはクリスマスハムが。あらかじめ解凍しておいたものを、朝早くにオーブンの中へ。ハムは重さによって多少時間は変わってきますが、7〜8時間かけてじっくりローストするので、ディナーに間に合うように準備するには、朝から始めないと間に合わないのです。

簡単にランチを済ませ、日没前後の午後3時ごろ、お墓参りに出かけます。クリスマスイブにお墓参りをするのは、他のキリスト教圏ではあまりみられない風習かもしれません。この辺にも、キリスト教伝来以前の風習が残っています。クリスマスを祝うようになる前は、「Kekri(ケクリ)」と言われる収穫祭が行われていました。その際、お墓参りをして、豊作を先祖の霊に感謝する風習があったのです。このあたり、日本のお盆のようで懐かしささえ覚えます。そもそもクリスマスもお盆も家族が集まって過ごす歳時ですしね。

墓地には、多くの人がお墓参りに訪れています。墓石の前には火の灯ったロウソクがあちこちに。また、墓地内には、遠方の墓地に眠る自分の家族や親族、知人にロウソクを捧げる場所が用意されています。そこにはもう何百というロウソクが。

Jouluaatto_墓地のロウソク

日が落ちて夕闇がせまりつつあるこの時間帯の墓地は、いたるところに揺らめくロウソクの明かりで、まるで星空のようです。

Jouluaatto_墓地のロウソク

午後4時、そろそろクリスマスハムが出来上がった頃ですが、ディナーの前にはサウナに行って、身を浄めます。この辺の風習も日本の大晦日的で面白いです。サウナの中では、「vihta(ヴィヒタ)」という白樺の葉を束ねたもので肌をビシッバシッとたたいて血行を促します。この時期は、新鮮な白樺の葉はないので、夏作って乾燥させておいたものを使います。

午後5時、サウナに行っている間に、こっそりとサンタクロースが訪ねてきたようです。ツリーの下にプレゼントが置かれていました。

Jouluaatto_クリスマスツリー

フィンランドでは、サンタクロースは玄関からプレゼントの入った袋をかついで堂々と入ってきます。そして、子どもたちに「いい子にしてたか〜?(ちょっとなまはげに近いものがある?)」と聞きながら、プレゼントを手渡しします。

クリスマスディナーも準備ができました。メインディッシュは、先程焼き上がったクリスマスハム、付け合わせは、人参、カブ、じゃがいもの「laatikko(ラーティッコ、キャセロール」、「rosolli(ロソッリ)」というキュウリやビートルート(赤かぶの一種)などのピクルスを混ぜ合わせたもの。他にはキノコやポテトサラダも。加えて、我が家ではサーモンのオーブン焼きなどが加わります。

Jouluaatto_クリスマスディナー

ディナーのあとは、家族みんなで一斉に自分宛のプレゼントを開けて、大人も子どもも大騒ぎ。やはり一番盛り上がるのはこの時ですね。このように夜は更けていきます。

そうそう、夜寝る前に、忘れずにやるべきことがあります。ロウソクの火を消す?あ、それ大事ですね。オーナメントのライトの電源を切る?それもありますね。実はもう一つ大切なことがあります。フィンランドに家々には、「Tonttu(トンットゥ)」という精霊/小人が住んでいて、家を守っています。彼等に感謝の気持ちを込めて、サウナをちょっとだけ暖めておいて、残ったクリスマスディナーを少しだけお皿にのせて、テーブルの上に置いておくこと。夜こっそりのぞくと、トンットゥたちがクリスマスパーティをしているかもしれませんよー。

Jouluaatto_我が家のトンットゥ

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