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Lumilinna

今日も、気ままに フィンランドから

Joulun odotus|Waiting for Christmas

クリスマスがやってくる

 

表題、直訳すると「心待ちにするクリスマス」のような意味で使い、挨拶代わりに、「Iloista joulun odotusta」なんていいます。日本語にしにくいんですが、「Merry Christmas expectations、というか、クリスマスを楽しく迎えられますように」という感じでしょうか。これには、クリスマス準備の苦労をねぎらい合う、という意味合いもあるに違いないと思っています。

 

クリスマスとは、言うまでもなくイエス・キリストの降誕を祝う宗教的な歳時ですが、一年で一番大きな季節の歳時でもあり、来るべき厳しい冬を乗り越えるための催しでもあることは、過去の記事にも書きました。*1

 

年々クリスマスシーズンの幕開けは、クリスマス商戦の幕開けに比例し、早まる傾向にあります。昨今は10月中旬頃からクリスマスグッズを店頭で見かけるようになりました。でも、あまり早すぎてもちょっと興ざめです。そういう意味では、最近日本でも人気のハロウィーンパーティなどを、9月の初めからやっちゃうのも、どうかな、と思いますけどね。やはり歳時には季節感って大事です。

 

クリスマス商戦はさておき、フィンランドでクリスマスが来るぞ〜、と盛り上がってくるのは(みんなが焦り始めるのは、と言った方が適切かも)、12月に入ってから。一気にクリスマスモードに突入し、街中はクリスマス一色。特に商業施設に並ぶおもちゃや、スイーツ、オーナメント、そしてBGMのクリスマスソング。こういうビジュアル/オーディオ要素が一役かっているのはもちろんなのですが、雰囲気というか、空気感というか、目に見えない要素もあるようなのです。

 

これは、子どもにとっては、大いなる期待とワクワク感、といったものすごいパワーのポジティブな感覚なのでしょうが、大人にとっては、少々事情が異なってきます。いわゆる「大人の事情」というやつですね、サンタクロースの手伝いをする、あの事情です。特に子どものいる家庭にとっては、「正しい」クリスマスの演出をする、という重要な役目があります。加えて、フィンランドにもやはりあるのですね、親戚、近所付き合いというものが。ちょっとした日用品やチョコレートなどにカードを添えて贈ったりするのです。まあ、日本ほどではないので、楽ですけど。

 

そして、クリスマスが直前に迫ってくると、家の大掃除とクリスマスの飾り付け、クリスマスディナーの準備、などなどが加わり、かなりの焦燥感。

そうそう、「クリスマスカード書き」という大仕事もありました。

おそらく、相当数の大人が、クリスマス前にはストレスを感じているのでは、と思います。それでも、皆、子どもや家族の喜ぶ顔が見たいがために、頑張っちゃうのがクリスマスなのです。

 

そして、忘れてはいけないのが、この時期に盛んになるチャリティ活動と募金。クリスマスと「慈愛の精神」は切っても切り離せません。ディケンズの「クリスマスキャロル」のテーマにもなっていますね。おおむねキリスト教圏ではチャリティには積極的な人が多いのですが、クリスマス前になると、恵まれない人々もクリスマスを祝えるようにと、食事を提供したり、金銭を贈ったり、プレゼントを贈ったり、という活動があちこちで見られます。クリスマスというのは、自分や家族のためだけのものではないのですね。社会全体で祝うもの、という精神が浸透しています。まあ、敬虔度はさておき、フィンランド国民の約76%がキリスト教徒ですしね。

 

さて、ここで我が家のJoulun odotusの様子をかいつまんでご紹介しましょう。

まず、クリスマスカード書きから始まる、予定が、ギリギリとなり、結局今年はクリスマスまでに間に合いませんでした。(>_<)

フィンランドの郵政事業を掌る、Itellaは、例年11月中旬になると、ピンクの封筒を各家庭に配ります。それには、「クリスマスカードは12月中旬(今年は12月12日の金曜日)までに、この封筒に入れて投函してね、そうすれば、イブまでに配達するから。」と記されています。ちなみにフィンランドの国内郵便は、ファーストクラス、セカンドクラスと2種類あり、前者は翌日配達、後者は国内宛でも2〜3日かかります。「ただし、クリスマス前の繁忙期には、ものすごい取扱量になるので、この限りにあらず。なので、所定日までに出してね」というのがItella側の説明。ちなみに、封書、葉書問わず、郵便料金は、ファーストクラス「1ユーロ」から、セカンドクラス「0.75ユーロ」から、となっています。

実は、フィンランド人、カードを送るのが大好き。クリスマス以外にも、聖バレンタインデーやイースター、親しい人の誕生日などには、カードを送る習慣があります。

 

次に、クリスマスショッピング。毎年早めのショッピングを心がけるも、これまたギリギリに。クリスマス前のお店の営業時間は、23日までは通常通り21時まで開いているところが多いのですが、24日は12時で閉店、25〜26日は休みになります。ショッピングのピークはおそらくクリスマス前の週末。プレゼントや食料品の買い出しでお店はごった返します。

お菓子(ジンジャーブレッド)の家の品評会ショッピングセンター内で見かけた「お菓子(ジンジャーブレッド)の家の品評会」

クリスマスを彩るショップのウインドウディスプレイクリスマスを彩るショップのウインドウディスプレイ

クリスマス前のスーパーマーケットフィンランドのクリスマス料理のメインは「joulukinkku」というクリスマスハム。クリスマス前のスーパーマーケットには、このように巨大な豚のもも肉が並びます。付け合わせに食べる各種「laatikko(キャセロール)」もプラスチックケースに入ったまま大量に並んでいます。我が家のショッピングカート内には、冷凍のクリスマスハムとポインセチアやヒヤシンス、キャセロールなどが。

 

大掃除は、今年は早めにキッチンを済ませておいたので、サウナと浴室を重点的に。ほんとは、ものの分別をして、整理整頓したかったんですけどね。これは大晦日までにやることにしましょう。

 

あとは、お部屋をクリスマス仕様にデコレーション。これは、各家庭でそれぞれ。早めに飾り付ける家、直前にやる家、色々あるようです。我が家はあまり電飾は使わず、シンプルに。デコレーションはクリスマスイブの朝にツリーを買ってきてから。

 

それにしても、日本の師走同様、フィンランドの12月もとても慌ただしく、あっと言う間に過ぎてゆきます。以前、「冬支度」の中でちょっと触れましたが、そんな「Joulun odotus」をアイロニーたっぷりに描いたのが、ムーミンの短編小説「もみの木」。冬は冬眠するのが常のムーミン一家はそもそもクリスマスというものを知りません。ある冬、冬眠から目覚めてしまった一家が遭遇する「クリスマス前のヒステリア」が面白可笑しく描かれています。それでいながら、ストーリーの根底には、おしつけがましくなく、ごく自然なかたちで「クリスマスの慈愛の精神」が流れた佳作です。

 

そんな、こんなの「Joulun odotus」ですが、お楽しみに苦労はつきもの、といったところでしょうか。

 

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