Lumilinna

今日も、気ままに フィンランドから

夏の終わりの花火

このところご無沙汰の更新でしたが、決してさぼっていた訳ではありません。

下書きしながら、最終投稿までいってなかった、というだけで。。。

はい、いい訳です。

 

ということで、今まで書き留めていたいくつかの記事を一気に投稿します。

 

先週末(8月23日)、花火の打ち上げがありました。それを見ながら、「あぁ、夏も終わりだなあ」という感慨に浸りながら、ちょっぴりおセンチな気分になる。

 

過ぎ行くものに美を見出す、このあたりは日本の美意識「わび、さび」に近いものがあるように思います。

 

ただ、「夏の終わりと花火」、というのはフィンランド人にはしごく当然のことなのですが、日本人にはちょっと「???」な組み合わせかもしれません。

 

「フィンランドでは、花火は冬の風物詩」 というのは以前の記事でも書きました。*1

 

たしかに、日本では夏の風物詩が、フィンランドでは冬の?というのは違和感ありますよね。まあ、いまでは東京ディズニーランドのニューイヤーズイブなどの影響で、大晦日の花火も定着してきましたが、やはり花火と言えば、夏!というのが一般的でしょう。

 

では、フィンランドではなぜ冬に花火なのか、理由は簡単、夏は白夜、花火を上げても見えません。

 

そこで、夜が長くなってきた、と実感する8月の終わりに花火を上げ、夏の終わりを告げる、というのがフィンランド的季節感なのです。

 

フィンランドはじめ、北欧の国々では、夏と冬の差が大きく、日照時間にも大きな差があります。しかも夏は短く冬が長い、という自然環境では、とにかく、太陽、夏を謳歌します。ですので、少しでも秋の気配を感じると、来るべき暗く寒い冬を思い、気分がメランコリックになるのはいたしかたないこと。

 

そういえば、ムーミンのお話の中にもありましたね。8月の終わり、少しずつ夜が長くなり、だれかが灯したロウソクの光を見て、夏の終わりを実感するムーミンパパの憂鬱。

 

『楽しいムーミン一家』のお話の中には、8月の夜空に上がる花火のくだりとイラストがあります。ここでは、花火の華やかさがしごく強調されています。

 

この辺、過ぎ去る夏の寂しさを、花火打ち上げて紛らそうよ、というフィンランド人の生活の知恵のよう。また、背景には作物の収穫を祝う、ってのもあるんでしょうね。そして長ーい冬に備える。

 

ムーミン関連の話を続けると、9冊あるムーミン小説のタイトルだけを見ても、夏、秋、冬、短編集には春を扱ったものもあります。ムーミンのお話の中から、フィンランドの四季や、トーベ・ヤンソンの季節感を捉えることもできますね。

 

いつか、ムーミンとフィンランドの風物詩の関連を、民俗学的視点から書いてみたい、と思っています。ので、オファーないかしら。。。

夏の終わりの花火2015

 

*1:

Uudenvuodenaatto|New Year's Eve lumilinna.hatenablog.com

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