Lumilinna

今日も、気ままに フィンランドから

ぶらぶら街歩きショッピング - フリーマーケット編

先の記事で述べたように、私、アンティーク、ヴィンテージもの大好き、ゆえにKirpputori、キルップトリ(フリーマーケット)大好き。 

 

「アンティーク」といわれるものはもちろんのこと、最近はその価値が認められつつある「ヴィンテージ」、あるいは単なる「中古品」であったとしても、その「もの」が語る、歴史や文化的、社会的背景や、得体の知れない「もの」そのものをリサーチするのが、とても楽しいのです。


そういうものと出会う場、としてまず無難なのはアンティークショップやアンティークフェアですが、これらは相場を知るのにはいいけれど、それなりのお値段がついているので、掘り出し物を捜すには、やはりキルップトリが一番。 

 

 フィンランドの場合、キルップトリには大きく分けて3種類あります。

1. itsepalvelukirpputoriイッツェパルヴェルキルップトリ、つまりセルフサービスのフリーマーケット

2.セカンドハンドショップまたはリサイクルショップ

3.カーブートセールなどの対面フリーマーケット

 
という訳で、今回はまず「itsepalvelukirpputori、セルフサービスのフリーマーケット」をご紹介。実際、私もよくキルップトリに足を運びます。通常日曜日は12時開店のショップが多い中で、キルップトリは午前中から開いているので、日曜日の暇つぶしにはもってこい。そして、そういうときは、気ままに見て回れるItsepalvelu(セルフサービス)式はとても居心地がいい。
 
ここでいう「セルフサービス式」というのは、
 
まず出店者はその場にいない。
キルップトリ内は倉庫を再利用しているところが多く、広々とした空間が細かいブースに仕切られていて、
出店者は、そのブースを所定の期間借りて、自分で値付けした諸々を販売するのだが、自分はそこにいる必要はない。
買い手は、そのキルップトリ内を自由に見て回り、気に入ったものをショッピングバスケットなどに入れて、キャッシャーのところに持っていって代金を支払う。
キルップトリの運営者は、ブースに付けられた番号ごとに売上金額を記録し、所定の期間終了後に売上金額を出店者に支払う、という仕組み。
 
このシステムのいいところは、気軽にいろいろ見て回れるところ。出店者がその場にいる訳ではないので、いちいち値段を聞く煩わしさもないし、自由に触ったり試着したりできる。
ただし、出店者との値段交渉はできないので、値札の値段がファイナル。ただ、所定の期間終了間際には、全品を半額にする出店者も多いので、気に入ったものが半額になっていたらラッキー。
 
ところで、
「出店者がその場にいなくて、盗まれないの?」
という当然の疑問がある訳ですが、実際盗難もままあるようです。事実、私たちが出店した時も比較的高価なものだけ盗まれたことがありました。ただ、軽犯罪が比較的少ないフィンランドなので、性善説を重んじ、こういうシステムが成り立つのでしょう。そして出店者も盗難のリスクは承知の上で、ブースを借りる訳です。
 
また、盗難防止のために、有料でアラーム付きのシールを買って、品物に貼付けたり、高価なものは、キャッシャー近くにある鍵付きのキャビネット内に有料でスパースを借りて展示販売することも可能。
 
そこで、気になる出店料ですが、キルップトリのロケーションによって多少異なります。街の中心地にあるほうが来店者も多いので、当然出店料も高めですが、通常6日間で35〜44ユーロぐらいでしょうか。

キルップトリの醍醐味は、何と言っても「もの」との出会い。ぶらぶら歩きながら、気に入ったものを見つけた瞬間は何ともいえずわくわく。とはいえ、やはりキルップトリだけに、気に入っても値段がキルップトリらしからぬものは買わない。また、いつもお気に入りのものとの出会いがある訳ではないので、それだけに出会った時のうれしさは倍増。 

私にとっての掘り出し物とは、まず、時代を物語るものであること、感性に訴えてくること、加えて、古いけれど状態がよい、ってのも重要なポイント。自分の興味の対象である、ジャポニスムやデザイン史上価値あり、なんてのがあったら、もう即買い。あるいは、数シーズン前のファッションなどで買いそびれ、もうお店には売ってない、ってのもポイント高いですね。そして、何より、値段が手頃なこと。
 
フィンランドに来た当初の15〜6年前は、Arabiaの、ポップでカラフル、しかもかわいい60−70年代カップ&ソーサーが20マルカぐらい(約400円)で売っていてとても楽しかったのだけれど、最近はほとんど見かけなくなってしまいました。もうヴィンテージとしてのマーケットが確立され、アンティークショップのほうで売買されるようになってしまったんでしょう。いまでも時々見つかることもあるけれど、値段がずいぶん高くなってしまい、まず買うことはありません。

それでは、先日行った、タンペレ郊外にあるキルップトリで見かけた「もの」をご紹介しましょう。

Kirpputorilöytöjä_Perhooti kirppis

左上: Kaj Franckデザインのボウル、オリジナルボックス入り6個セットで60ユーロ。
右上: ヴィンテージ、ブリキの調味料入れ。
左下: アンティーク家具、「secretary furniture」。フィンランド独特のユーゲント様式と古典様式のデザイン、文様が入り交じった、とってもユニークなもの。こういうデザインは、まず北欧でしか手に入らないでしょう。デザイン史的にみても、ヨーロッパにおける北欧の「vernacularっぽさ」が出ていてとても面白い。我が家にスペースがあったらぜひとも購入したかった代物。
右下: 19世紀を代表するオーストリアの家具デザイナーMichael Thonetデザインのロッキングチェアー。初めてBent wood(曲木)を用いた家具を製作したことで知られる。60ユーロでした。これも喉から手が出るほど欲しかった!
これらは、どれも私の感性に訴えてきたのですが、泣く泣く購入をあきらめたもの。
 
次は、比較的タンペレの中心地に近く、時々出向くと、必ず何かを買ってしまう、というキルップトリ。今回の戦利品は、これ。

Kirpputorilöytöjä_Silinteri kirppis

写真上、Marimekkoのキャンバス地バッグ、フィンランドの代表的ガラス工場であった「Riihimäki社のクリーマー、Nanny StillデザインのRiikinkukko(ピーコック)シリーズ」のもの。
Tapio Wirkkalaデザインの「Tapio」シリーズのカトラリー。ステンレスではなく「alpakka(洋白)」という素材を用いているため、かなり変色、汚れが目立っていたので、徹底洗浄。大分汚れも落ち、洋白らしい色合いと光沢を取り戻しました。写真上のビフォーと、下のアフターを比較してみてください。
 
ついでにもひとつ。

Kirpputorilöytöjä_Bonus kirppis

Arabiaのヴィンテージプレート2種、フラットなプレートと少し深めなプレート。「Soma」というシリーズのもので、白地にターコイズブルーの縁取りが美しい。
おそらくフィンランド製のプレスガラスのスモールプレート2枚。過多な装飾がフィンランドらしくない、とお思いかもしれませんが、機能主義が台頭する前のフィンランド製品には、このような装飾に富んだデザインが多いのです。ちょっぴりジャポニスムの影響を感じさせるアールデコ風のプレート(左)なんて、まさしく私好みなのです。
 
フィンランドのキルップトリ、こーんなものがゴロゴロしているんです。
あ〜、だからキルップトリ通いはやめられない!
 
次回は、フリーマーケット編第二弾「セカンドハンドショップとリサイクルショップ」いきます。
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