Rudolf Koivu展@Postimuseo
先のVapriikkiの記事に引き続き、今回もミュージアム関連の話題。
先日、Vapriikki内にある、Postimuseoの企画展「Kuin silloin ennen - Lasten elämää Rudolf Koivun kuvittamana(昔の子どもたち ー ルドルフ・コイヴのイラストにみる昔の子どもたち)」に行ってきました。小規模の展覧会ながら、ルドルフ・コイヴファンなら見逃せません。
まず、ルドルフ・コイヴを簡単にご紹介。
ルドルフ・コイヴ(1890−1946)は、Martta Wendelin(マルッタ・ウェンデリン)と並び、フィンランド人ならだれもが知っている、20世紀前半に活躍したアーティスト/イラストレーター。絵本の挿絵、雑誌の表紙、広告、ポストカード、教本など、分野、作品は多岐にわたる。
帝政時代のロシア、サンクトペテルブルグでフィンランド人の両親の元に生まれるが、幼くして両親と死別。不遇の子ども時代をおくるが、のちに裕福なゴッドマザーに引き取られヘルシンキに移り住む。幼い頃から画才を発揮し、Suomen taideyhdistyksen piirustuskoulu(現Academy of Fine Arts)*1にて画家になるべく絵画を学ぶ。しかし、画家よりイラストレーターのほうが稼ぎがよかったために転身し、その後はイラストレーターとして活躍。
主な作品として、フィンランドを代表する童話作家ザクリス・トペリウスや、クリスチャン・アンデルセンの童話の挿絵、『千夜一夜物語』の挿絵などがある。
ペンと水彩で描かれた画風は柔らかく、ノスタルジック。フィンランドの子どもたちの様子を四季折々の中で生き生きと描いた。
イギリスのベアズリー、フランスのデュラックなどの影響を受けたとされ、童話の挿絵は繊細かつ優雅。また、ロシアバレエに造詣が深く、特にバレエリュスに傾倒、バレエの動きを取り入れた作品も多い。
風刺画も描いており、トーベ・ヤンソンも活躍した雑誌「Garm(ガルム)」に作品を提供している。
とまあこんな感じ。
ルドルフ・コイヴの画風、私も大好きなのです。何とも郷愁をそそる、といいましょうか、古き良き時代。日本で言ったら、大正ロマン、竹久夢二の時代に活躍した人ですね。画風は違いますが、何となく共通するところがあるように思います。
とにかく絵が美しい。元々が本、雑誌用の絵なので、サイズの小さい作品が多いのですが、展示されている作品も、最初印刷かと思ったぐらい仕上がりが綺麗なのです。
この企画展では、ルドルフ・コイヴが描いた子どもたちと同時代の子ども服、おもちゃなども展示されています。今の子どもたちは、自分たちの生活ぶりとの違いを体感し、かつての子どもたちは、自分の子ども時代に思いをさせる、という趣向。ただ、洋服が下がっていたラックが現在IKEAで売っているものだったのが、何とも惜しい。。。
そして、この日はガイドツアーやルドルフ・コイヴに関するレクチャーもあったのですが、参加者たちの平均年齢の高いこと。私、最年少だったかも。コイヴの絵が醸し出すノスタルジーは、若い世代には少々古くさく見えるのかもしれませんね。
上の写真は市販されているコイヴのポストカードを集めたもの。ベアズリーの描く女性のような妖艶さ、正確に捉えたバレリーナの動き、美少年から老人、子どもや小動物、シリアスからユーモラスな表情などを描き分ける画才は、コイヴならでは。細かい部分もしっかりと描き込まれていて、見ていて飽きません。
この企画展、2015年5月3日まで開催されています。タンペレを訪れる機会があったら、これもお見逃しなく。
さて、次もミュージアム情報続きます。
同じくVapriikkiで現在開催中の「Revontuli(レヴォントゥリ)展」をレポートします。
あ、Revontuli(オーロラの意)といってもあのAurora Borealisではなく、フィンランドの服飾メーカーの話なのでお間違いなく。
*1:この美術学校では後にトーベ・ヤンソンも学んでいる