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Lumilinna

今日も、気ままに フィンランドから

Suomen itsenäisyyspäivä|フィンランド独立記念日

Finland

今日12月6日はフィンランドの独立記念日。

1917年に独立し、今年で97歳。若い国です。

独立記念日の朝

                 photo: © Lumilinna

長い間スウェーデン、のちにロシアの統治下にあったため、独立した祖国への思いは、昔も今も変わらないようです。

例えば、全国各所で催される様々なイベント。

毎年、フィンランドの自治体が持ち回りで開催する独立記念日パレード。連なって走る戦車は見応えがありますが、街中で見ると威圧感も感じます。おそらく対ロシアを意識してのイベントでもあるのでしょう。

戦没者慰霊式典。タンペレではKalevan kangasという墓地にある慰霊碑前で退役、現役の軍人たちが新旧軍服を来て式典に参加する様は、まるでコスプレのよう、などと言ったら不謹慎でしょうか。

Ylioppilaiden soihtukulkue (Student's torch procession|学生たちのトーチパレード)。ヘルシンキ、トゥルク、タンペレなど、大学のある街で、大学生たちがたいまつやランタンを持って行進します。

各自治体で独自に開催される記念式典。タンペレの場合、夕方から街の中心にあるKeskustoriで有力者によるスピーチ、合唱団による国歌斉唱のあと、花火が打ち上げられます。

タンペレの独立記念日イベントから

photo: © Lumilinna 左上から時計回りに、Keskustoriでの記念式典、窓辺に置かれた独立記念日のためのロウソク、式典を締めくくる花火、Hämeenpuistoにある内戦終結を記念した「Vapauden patsas(解放の像)」台座に置かれたリースとロウソク

毎年恒例のRSO(Radion sinfoniaorkesteriラジオ交響楽団)による記念コンサート。国歌やシベリウスの交響曲などで、愛国心を盛り上げます。

個々の人々は、戦没者慰霊のためにロウソクを持って墓地を訪れたり、夕方(15〜22時までと時間が決まっています)窓辺に白と青二色のロウソクを灯したり、それぞれが自分なりに独立記念日を祝います。

そして、この日の大イベントは、何と言っても、大統領官邸で開催される晩餐会。共和国で君主のいないフィンランドも、この日ばかりは王国に様変わりしたよう。大統領夫妻と招待ゲストによる、一大ページェントが繰り広げられるのです。

日本のTVのワイドショーのような芸能番組はほぼ皆無、芸能人や著名人の動向には、無頓着なフィンランド人も、今日だけは、招待ゲストのイブニングドレスや、avec(元はフランス語の外来語で「同伴者」の意)に注目。TVも式典を生中継し、ファッション評論家(なんて職業の人はおそらくいないだろうから、文化/ファッション担当のジャーナリスト)が今年のトレンドを解説。翌日の新聞には特集が組まれ、特に注目の集まったゲストの写真とインタビューが掲載されます。フィンランドが年に一度、ゴシップネタで盛り上がる一夜なのです。

ただし、ポッシュでブルジョワな晩餐会に反対するアクティビストのデモが行われることも。去年、ヘルシンキの大統領官邸改修工事に伴い、タンペレで開催された晩餐会時には、デモ隊と騎馬警官がもみ合い逮捕者がでる事態に。タンペレは伝統的に労働者の街ですからね。それに触発されたのか、今年はヘルシンキでもデモがストリート・ヴァンダリズム(店舗破壊行為)に発展してしまったようで、警察が出動するはめに。

華やかなイベントの一方で、フィンランドの独立や国防に貢献した兵士たちは、今も昔と変わらず英雄視されています。

フィンランドの独立を守るために大量の血が流されました。独立直後の内戦、1939〜44年の冬戦争と継続戦争。国を守るために命を落とした兵士たちに対する思いは今でも熱く、ロウソク、花を捧げる人が後を絶ちません。

TVでは恒例の「Tuntematon sotilas(無名戦士)」が放映されます。毎年、同じ映画を独立記念日の午後に必ず放映するのです。そして、同じ映画を何度も観る人がいる。これがフィンランドの独立記念日の一端です。

大統領主催晩餐会でも、最も重要なゲストは参戦経験のある退役軍人で、大統領との謁見にも一番最初に通されます。また「Lotta」と呼ばれる、戦時中にボランティアで国防に貢献した女性たちも退役軍人に準じた扱いを受けています。

悲惨な戦争体験と、華やかな晩餐会、一見両極端のようですが、両者には因果関係があります。戦争という辛い過去があったからこそ、今の繁栄がある、戦争による犠牲は無駄ではなかった、そういうフィンランド人の思いが反映されているように思えてなりません。

 

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