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今日も、気ままに フィンランドから

「Heijastin」のすすめ

16年前にフィンランドに来て以来、注目しているものがある。それがheijastin(へいやすてぃん)という交通安全グッズ。れっきとしたフィンランド産の代物である。

今は見慣れてしまったけれど、フィンランドに来た当初は、道行く人がコートやジャケットの袖に何かをブラブラさせているのを見て「何だこりゃ?」と不思議に思ったものだった。ほどなく、それが「heijastin」という、最近では日本語でも「反射板」または英語風に「リフレクター」と呼ばれるものだ、と知ったのだが。

前述のとおり、「heijastin」は、フィンランドで考案され、暗い夜道を歩く歩行者の安全のために利用されている。

フィンランドの秋、冬はとにかく暗い。夜間の外灯も数が少なく、しかも日本のように蛍光灯ではないので、オレンジ色にぼんやり光る物が多い。そこで、「heijastin」を携行することにより、歩行者の存在を車の運転者に知らしめることができる。

「Heijastin」は今でこそ種類も増えたが、以前は銀行や保険会社などが、粗品として顧客に配っているものがほとんど。私もHeijastinを携行することには何の異議もなかったけれど、ただ、「◯◯銀行」とか「△◇保険」のように、会社名の入ったものを身に付けることには大いなる抵抗があったのだ。

アクセサリー感覚で身に付けられる、おしゃれで洗練された「heijastin」はないものか、そう切に願っていたのが今から8年前。

実はフィンランドでは、2003年から道路交通法で秋冬の夜が長い時期には「heijastin」の携行を義務付けている。これがもし日本であれば、ビジネスチャンス、とばかりに、おそらく多くのメーカーがロゴマークや人気キャラを利用し、あるいは地方自治体がゆるキャラを用いて、それこそ様々な種類のリフレクターを販売、配布するだろう、と思われる。

しかし、商売気があるんだかないんだか、何とも出だしの遅いフィンランドのheijastinメーカー。やっと重い腰が上がったのが前述の8年前。そして、現在では、だいぶ種類も増え、例えば、

  • 企業の販促用粗品に加え、
  • アーム、アンクルバンドなどのスポーツ系
  • ムーミンなどのキャラクターを用いたかわいい系
  • MarimekkoのUnikkoモチーフなどを用いたおしゃれ系
  • 上質な反射材を用いてブローチとして身に付けることのできるアクセサリー系
  • もっと手頃な反射材を用いて手作りアクセサリーにしたハンドメイド系
  • 反射材の交じった毛糸で編んだニット帽などの防寒具系
  • 反射材を衣服の一部に縫い付けた衣類系

また、デザインも、従来の安全ピン付きストリング型に加え、キーチェーン型、アクセサリー型など、選択肢も増え、加えてここ数年人気が高まりつつあるのが、子供用ベストと犬などのペット用。たしかに身体の小さい子供や小動物の存在を知らしめるにはリフレクターは効果的。

リフレクターを選ぶ上で重要なのが、その品質。しっかりと光を反射し、遠目からでも認知可能なクオリティが求められるのである。フィンランドはじめEU内では、一定基準を満たした商品には”CE"というマークが付いているので、このマークと、加えてリフレクターの品質基準である"EN 13356"という文字が入っているものなら安心だ。

車のヘッドライトがハイビームの状態で、ドライバーが歩行者を認知できる距離は、リフレクター不携行の場合は100m先、携行時では300m先だそうである。下のサイトで、その効果を実感してほしい。

Liikenneturva | Reflector

また、リフレクターは、衣類の袖や裾からぶら下げて携行することで、より認知度が上がるそうだ。

今後、日本でもリフレクター効果の認識度は高まるだろうから、フィンランドのメーカーも、もっと日本市場への進出を考えたらいいだろうに、この辺の押しが弱いのがフィンランド人気質。

現状では日本の個人輸入者が、ムーミン人気や、いわゆるフィンランド・デザイン人気に便乗して、ムーミンなどのキャラクターもの、MarimekkoやAarikkaなどのブランドものを販売するのみのようだ。

このままではリフレクター市場でもフィンランドは隣国に先を越されてしまう。(実際越されてしまっているのだが)そこで、声を大にして言いたい。リフレクターの需要が高まりつつある昨今、どんどんフィンランド国外に進出し、もっとMade in Finlandのリフレクター、つまり「heijastin」をアピールしようではありませんか!そして、日本のみなさん、身の安全のため、日々リフレクターを携行しましょう!

参考までに、フィンランドの「heijastin」メーカーをいくつか紹介しておきたい。

などなど。また折に触れてご紹介していくので、今回はこの辺まで。

最後に、「heijastin」事情をフォローするうちに、コレクターとなってしまった、マイコレクション(一部)をご覧いただきたい。

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